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『倭の五王』河内春人著

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 倭の五王について非常にわかりやすい新書がありましたので紹介します。
新書なので軽いし出張中にもかさばらないし古代史ファンにはおススメです。
 
倭の五王を簡単に説明します。
日本の歴史を知るための文献としては、日本では日本書紀古事記がありますが神話と史実の切り分けに問題があり鵜呑みにはできないところがあります。
よって中国の歴史書に書かれた日本の情報が重要になるのですが、その情報は邪馬台国卑弥呼、台与を最後に一旦途絶えてしまいます。
この途絶えた期間を空白の四世紀と読んだりしますが、この理由は中国の情勢が乱れ正史を編纂できなかったことで、日本の歴史の記録がないのです。
この空白を経て中国の正史に登場したのが倭の五王です。
 
倭の五王は、讃、珍、済 興 武 の5人です。
果たしてこの五王は誰なのか?
本著はこの点をすごく整理して展開されています。
五王を順番に考察していくのですがその考察のパターンが同じで比較できる形で整理されていて大変わかりやすいです。
また五王以外にも、準じた立場として倭隋という人物が登場する点にも仮説が細かく記載されています。
倭隋という人物は、珍が自身の安東将軍倭国王を承認してもらう際に、倭隋にも平西将軍号を認めてもらう要請を行い承認されている倭王と近い権力をもった人物です。
このことだけでも仮説は広がりますが著者は非常に論理的に展開するのであまりなじみのない方でも読み進めることができるのではないでしょうか?
 
古代史の入門書ではありませんが、ある程度知識を蓄えられた方にはぜひ読んでいただきたいと思いました。
 
そうそう、今週は仁徳天皇陵の全長がより大きな可能性があると話題になりました。
何と500mを超えるとのこと。
通説では、讃が仁徳天皇となります。
果たして倭の五王とは誰なのか?
本著の仮説を読まれることをおススメします。