この鏡の話題となると邪馬台国の卑弥呼が関係してきてついつい俗っぽくなるので好きではないのですが、中国で1枚発見されたということが話題になりました。
これは事実であれば大変な発見であるので、三角縁神獣鏡について分かりやすく整理しておきたいと思います。
■今回の発見 三角縁神獣鏡が中国で発見!
・・・朝日新聞記事を要約すると
・河南省在住のコレクターで研究者でもある王趁意氏が発表
・2009年頃、洛陽最大の骨董市で、市郊外の白馬寺付近の農民から譲り受けた
・正確な出土地点不明
・鏡は直径18.3cm/厚さ0.5cm
・参考:奈良県御所市鴨都波古墳から出土の三角縁神獣鏡(PHOTO)がほぼ同径
■これまで論争
【三角縁神獣鏡魏鏡説≒邪馬台国畿内説】
・魏志倭人伝には親魏倭王卑弥呼に銅鏡100枚が与えられたと記されている
・この銅鏡100枚に該当するのが「三角縁神獣鏡」ではないか?
・この根拠は、鏡の中に紀年銘のあるものがあること
・すべての三角縁神獣鏡に紀年銘がある訳ではなくこれまで発見されたものは4面
「景初三年」が島根県神原神社古墳から出土
「正始元年」が群馬県蟹沢古墳、兵庫県森尾古墳、山口県竹島御家老屋敷古墳から出土
この年号は卑弥呼が銅鏡100枚を与えらえた時期と合致する
・三角縁神獣鏡は前方後円墳から出土することが多い
・中国本土で1枚も出土していないのは卑弥呼に与えるために特別に鋳造したため
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◎三角縁神獣鏡は卑弥呼の鏡であり出土状況から邪馬台国とヤマト政権の連続性の根拠の1つとなり、邪馬台国畿内説に導くという流れ
【三角縁神獣鏡国内製説≒邪馬台国九州説】
・魏から与えられたのは100枚のはずが三角縁神獣鏡は国内でこれまで500以上出土している
・中国本土では1面も出土していない
・出土する古墳が時代に合わない
・鏡の銘文の質が悪い(韻を踏んでいない)
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◎三角縁神獣鏡は卑弥呼の鏡ではなく出土が偏る畿内に邪馬台国があった根拠にはならないとして邪馬台国九州説に導くという流れ
■今回の発見の意味
魏鏡説/国内製説どちらにもポイントだった中国本土で1面も発見されないという点が今回破綻しました。
さて、どう考えればよいか???