考古学の面白いところの1つに現地説明会があります。
これは発掘調査結果を一般に公開するというもので、普通は土日に行われて、その開催は週初めにされます。ということで現地説明会はネットで頻繁にチェック入れないとタイミングを逸してしまうし、ほかの予定がありなかなか行くことができません。
久しぶりに現地説明会に行ってきました。
場所は滋賀県彦根市の福満遺跡(古墳時代中期末から中世にかけての複合遺跡とのこと)でこれまで市内では検出されていなかった5世紀末の古墳が発見されたということ。彦根に行くのは釣りで行ったくらいで考古学では実は初めて!
興味が湧いたのは、円墳と合わせて方形周溝墓も出ているということで、古墳の周濠が好きな自分的には、方形周溝墓の周濠を見る機会は良いなというマニアックな理由からでした。
現地説明会は10月25日午後1時30分からということで、電車に揺られながらの一人旅です。ただし場所の確認も適当にしてきているので駅を降りたはいいけど、行先がわかりません(汗)。
っというのは現地説明会の場所の情報がネットで見つけられなくて、開催するとしか書いてないんですねぇ。
とりあえず福満公園という遺跡公園に辺りをつけて向かいました。
滑り台が物見やぐらになっていたりと細部にこだわりのある公園でしたが、ここではないなぁとぐるっと回って退散。
公園前のうどん・ラーメンなんでもありの「まるいし」さんというお店で腹ごしらえ。
元々うどん屋さんのようでラーメンスープじゃなくうどん汁そのものだった(笑)。
しばらく歩いていると学校の校舎の前に福満遺跡の石碑が。
どうやらこの辺一帯が巨大な福満遺跡であることを今らさながら理解!
さて、現地説明会はどこだろうと歩いて、用水の中のザリガニを覗いたりと、のどかな土地を歩いていると、それっぽい人たちを発見しました(笑)!なんとなくマニアな雰囲気で遠くからでもわかるものです。
まだ時間があったので、人はまばらで先に出土品や遺構をたっぷりと堪能!
今回の古墳は、
○方形周溝墓(弥生時代末期~古墳時代初期)1基
○円墳(古墳時代中期の終わり~末期)2基
特徴としては彦根市内で5世紀代の円墳が埴輪を伴って見つかったのは初めてということでこのエリアとしては貴重な発見ということでした。
実際には、古墳といっても墳丘がある訳ではなく、過去に削り取られてしまって周濠の跡から遺物が発見されたことにより古墳があった跡がわかったというもの。
現地で見ると方形周溝墓と円墳は密接していて時代の経過の中で弥生時代の方形周溝墓は壊されて円墳が造られたように見えます。
実際このあたりは現在も住宅エリアでありずっと重要なエリアとして栄えていたように思えます。
現地説明会の中で、自分からも1つさせてもらいました。
自分からの質問は「なぜ円墳と言えるのか?前方後円墳の可能性は?」でした。
この点は現地説明会の中心現場から少し離れたところに想定する同心円状の対角線となる部分からも遺物が発見されてたことで円墳と推定したということでした。たしかに少し離れた場所にトレンチが掘られていました。ご質問にご返答いただきありがとうございます。
現地説明会は急に予定が発表されるのでなかなか遠方からは予定化できませんが、今回はこじんまりとした遺跡発掘を堪能してきました。
彦根市サイトより福満遺跡のご案内