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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

『箸墓幻想』内田康夫著 

久しぶりに新幹線の携帯に小説を手にしました。
っといっても古墳ネタになりますが(笑)。

箸墓幻想は、ルポライター浅見が主人公のミステリーシリーズの1冊。
テレビドラマにもなっていますがこちらは観てません。
あらすじは、考古学者の失踪死亡事件に端を発し、その事件が未解決のままに考古学的な発見があり、歴史的ニュースになる中、別の事件が発生!そこに考古学者の過去にまつわる愛憎が絡み合っていくというような話題が盛りだくさんなものです。
そしてその舞台が、タイトルの箸墓古墳、、、っではなくて、
その近くにあるホケノ山古墳です。
ということで箸墓古墳は眺めるだけなんですね。まあ陵墓参考地で中に入ることができないし当然なんですが。

箸墓古墳、ホケノ山古墳というとどうしても話題は卑弥呼の墓?邪馬台国?という方向に向かいます。小説では邪馬台国畿内説に偏り気味で、その決め手として画紋帯神獣鏡を物語のキーにしています。確かに三角縁神獣鏡にするとインパクトが出せません。

気になるところは同志社大学が目立つところ。
同志社大学の考古学者といえば、故森浩一先生。森先生はどこにも登場はしてこないけど、登場人物のモチーフになっているのか?は不明。根本的な考え方が違うのでモチーフにはできなかったのかな?と思いながら読みました。

そうそう、現近つ飛鳥博物館の白石太一郎先生は実名で登場。小説の中の評論の感じは、そのままというか白石先生っぽい表現になってます。

可哀そうなのが、纏向学研究センターの寺沢薫先生。どう考えても小説に登場する、畝傍考古学研究所の課長平沢徹というのは、寺沢先生のことに見えます。
小説 平沢徹
本物 寺沢薫 
小説内で、平沢徹は殺されちゃうんですね(汗)。寺沢先生のコメントが読みたいという気分になりました。

結局小説読んでも実際との比較が気になってしまいますが、小説内の考古学者が語る箸墓古墳への想いのところ、
「平沢は車を停め、今度は外に出ないで、フロントガラスを通して、箸墓とその向こうの三輪山を仰ぎ見た。細めた目には懐旧の想いをこめて、いつまでもそうしていたいような気配があった。」

本当にとの通りだなと思ってしまいます。
自分が箸墓古墳を見るときと同じ感覚で何度でも訪れたくなります。