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『大化改新の黒幕』小林惠子著

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今週は東京へ日帰り出張あり帰路で本屋さんに寄ってみると小林先生の新書が新刊であることに驚きながら購入。東京から金沢への新幹線2時間半が充実しました。
書評はというと、小林先生は主張が一貫しているので実は、1冊1冊で何もコメントがないというか(苦笑)。。。
実際古代史の基礎知識が無いと読み進められないので先生の書籍を買う人は限られると思いますが、自分は大好きな先生の一人です。先生の前提を書くと
 中大兄皇子=翹岐(ぎょうき=百済の王族)
 斉明天皇高向玄理の妻
 大海人皇子=斉明と高向玄理の間に生まれた漢皇子=淵蓋蘇文(高句麗
登場人物を日本古代史ではなく東洋史の中にプロットしないと理解できない難解さがあります。ただし主張は一貫しているのでどの本読んでも小林史学を前提としているので愉しむだけって感じではありますね。
自分が小林先生が好きな理由はいろいろありますが、この新刊冒頭の言葉を借りると、
先生は「私の歴史解明は、中国の史料と『書記』の記述が一致したとき、または半島の史料と『書記』の記述が関連している場合、そして中国と半島それぞれの史料で倭国に関する内容が一致している場合、以上の三点をもって史実として解釈する」と言われます。判断の基準をこのように宣言できる明快さ!

そもそも小学校から習った日本史の中でなぜ日本は百済からの救援要請を受け入れ、半島に向けてなぜ大軍を送ったのか?それは歴史の授業で白村江の戦いとして先生は教えてくれる訳ですが、"なぜ?"は教えてくれません。自分が12歳だった40年近く前(汗)からの疑問に答えてくれたのが小林先生でした。
日本史学は先生の見解へは無言を貫きますが、その間にも考古学は目覚ましい発展を遂げさらには、学会外の研究者の様々な意見が露出される現在、小林先生の見解は今現在でも輝いています。

先生の書籍を最初に読んだのはいつだったかな?と遡ると、1994年初版の以下の書籍。

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今から25年前の本が出てきました。自分の興味あるレンジと完全に一致しているので
それ以降の先生の本もいくつか書棚に残っています。

っで今回の新新書『大化の改新の黒幕』のあとがきに2019年7月病床とありました。
病床!?

先生具合悪いのか、今年84歳なはずで大変ご高齢なので病床もあり得ると言えばあり得るけど、それでも今年9月に新書を出すバイタリティ。
古代史ファンとして、考古学マニアとして少しでもお元気でいられることを願います。