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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

『天皇陵の謎』矢澤高太郎著

少し前の新書ですがおススメを1冊。
天皇陵の謎』。

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著者の矢澤さんは考古学者ではなく元記者です。記者の目で天皇陵の歴史を語られます。その内容はやや近畿に偏った面はありますが、天皇陵が治定された歴史的な背景含めてまとめられているので大変わかりやすいです。
測量図が挿絵で入っている点も面白くて例えば崇神天皇の皇子である倭彦命。

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引用は末永先生の書籍からで、ブログ的にはコピペのコピペとなりますが、どう見ても方墳が前方後円墳の前方部に細工され、前方部は古墳ですらない領域を囲って無理やり"前方後円墳"に仕立てられています。

こういう天皇陵含めた陵墓の実際を江戸時代からの情報含めて分かりやすく解説されているのが本書です。

あと、古墳を眺める絶景の角度という視点も自分的にすごく共感できたマニアックなところでした。古墳の姿は築造当時とは違うものの、できれば写真に収める時にできるだけ現在の建物なんかは画角に入れたくないものです。矢澤さんは山の辺の道にある景行天皇陵を写真に撮る際はどこから撮るのがおススメかとか、説明してくれます。
陵墓の撮影をするとマニアの方なら良くわかると思うのですが、立ち入り禁止なので正面からのどこでも同じようなカットしか撮れないんですね。
回り込んだりといろいろ角度を探すんですが、大概はただの山にしか見えないので難易度高いです。
私の過去でいうと、天武・持統天皇陵のカット。

このリンク先のPHOTOは2013年のものですが、歩き回って見つけたべスポジで矢澤さんとお話できたら、この感覚を共有できて愉しいだろうなと思ったり(笑)。

この本は何か歴史に対しての持論を述べる訳ではないので、天皇陵の過去から現在に対して軽く流して理解するには負担の無いボリューム感です。出張時に何冊か本を持っていく際には結構レギュラーな1冊です。