箸墓古墳の相似形古墳と言われる古墳はいくつかあって、相似形と言っても前方後方墳も設計としては同じだと言われている古墳があります。今回京都府向日市にある2つの古墳を見てきました。
箸墓古墳との比較が結構出て来るので予習される場合はこちら!
■五塚原古墳
京都駅から各駅で向日町駅へ。五塚原古墳は以前から見てみたかった古墳なんですが、なかなか機会を作れなくて今まで墳活したことがありません。地図を頼りに現地へ歩いて向かうと目印にしていた池が見えてきました。釣り禁止となっているのに結構な人がヘラ釣りしてました(苦笑)。
しかし古墳に向かう道を進むと何と
立入禁止!!!
まさかこんなことになるとは(汗)。
仕方が無いので少し遠回りして別のルートへ向かうとこちらもっ!
参りました。。。
仕方ないので説明板にある画像を。
全長は91.2mで前方部が撥型に開く最古級の前方後円墳であるだけでなく、段築数は前方部2段、後円部3段というその後の古墳の基本的なモデルになっていると考えられます。五塚原と箸墓の共通点としては、前方部と後方部の異なる段の接続の仕方にあります。以下は過去橿考研から発表されている箸墓古墳の三次元レーザー測量図です。
前方部から後円部にかけて段築が連続してないのが良くわかります。同様の特徴が五塚原古墳でも発見されています。また箸墓古墳と同じく纏向にある東田大塚古墳と前方部の形状が同じと言われています。前方部の形状?どの部分をもって同じと言うのかは前方部がほぼ消滅しているので難しくて自分にはわかりません。
ともかく肝心の墳内に入ることはできず、同じ乙訓古墳群の元稲荷山古墳を目指すことにしました。
■元稲荷山古墳
元稲荷山古墳は前方後方墳ですが設計としては五塚原古墳と同じく箸墓古墳と共通点があると見られていた古墳です。直近調査では、箸墓よりは西殿塚に近いという見解も出ています。いずれにしても最古級の前方後方墳と言えるし、定型化した前方後円墳時代にありながら同じ設計築造されたという点が非常に貴重な古墳です。
立入禁止じゃないことを祈りながら向かいました(笑)。
丘陵地をアップダウンしながら程なくして到着。しっかりチェックできそうです。
元稲荷山古墳は全長94mの前方後方墳です。
先の五塚原古墳と同時期で同規模。一方は前方後円墳でこちらは前方後方墳。ヤマト王権に参加しながらも自立性をもった王の墓だろうと考えられています。さらに面白いのは、埴輪の起源とされる特殊器台が出土している点。
特殊器台というは墓の上に供献される土器を置く台(器台)で円筒埴輪へと変遷していく土器です。この期限は吉備にあって箸墓古墳からも出土している古墳の出現期を見極める上で大変重要な遺物です。
吉備と箸墓を繋ぐ特殊器台が、前方後方墳の元稲荷山古墳にもあった!?
そんなことを考えていると、トイレの建物の特殊器台のイラストが。
古墳の周りは公園になっていて古墳をモチーフにした遊具も。
実際古墳に登ってみると、後円部には建物がありグルっと立入禁止になっているので、これは古墳の調査の後に何のために建てられたのか調べてみると、近隣の配水池ということでした。
高度成長期の人口増加に対して開発されることになり、調査でいろんなことが判明したというのは皮肉なものですが、開発調査により竪穴式石槨が発見されます。
現在ならとんでもない発見で、そのまま工事は中止となり遺跡保存で観光資源として活用する方向でしょうか。調査は昭和35年のこと。この上に天井石として11枚の石がおかれており、その一部分が公園内に残されていました。
内部構造はこのように見る影もありませんが、外形としては前方後方墳と良くわかる形で残っています。
最新の調査では、箸墓古墳をモデルとしつつも技術的には西殿塚古墳(天理市)と似ているという結果が出ています。西殿塚古墳でも特殊器台の出土があるので同時期なんでしょうけど、それにしても前方後方墳というのが謎です。
以下図は第10次調査資料より転載しました。
特殊器台の勉強をしなければと、元稲荷古墳のトイレを見て改めて思った墳活でした。