Galaxyの山崎賢人さんのCM、考古学マニアとしてチェックのし甲斐ある内容です(できればフルVer.がおススメ)!
今はもう平安時代編に変わってしまいましたが、ちょっと前までやっていた弥生時代編について書いてみます。このCMは現代で山崎さんが演じる龍守渡が彼女にフラれ、さらにスマホを湖に落としたところから始まります。
このCMのカギは普通じゃない父親が握っていて、父親は奇妙な踊りをした後、頭の中でスマホを発見。龍守という姓が、一族の素性を表現しているようです。スマホを落とした湖には龍が棲んでいて、龍を守ってきた一族が龍守家?という設定なのでしょうか。そして父はその宿命を背負い生きてきて、息子の渡(=山崎賢人さん)にもいよいよ試練を与える時がきた???
ともかくスマホを探しに二人で湖へ向かうのですが、そこで山崎さんだけがタイムスリップしてしまいます。
各時代の中で課題をクリアして現代に戻ってくることが一族の大人になる試練なのでしょうか?ともかくまずは旧石器時代へタイプスリップし、次が弥生時代という訳です。
やっと本題に入れます。旧石器時代の次は弥生時代。
時代設定としては240年となっています。
登場人物は邪馬台国の卑弥呼。
皆既日食により卑弥呼の力が失われるところを、龍守渡がスマホの機能で復活させるというストーリー。
このストーリーの時代考証のPOINTを考えるのがマニアとして面白い訳ですが以下の点が企画上悩んだところだろうと思います。
●建築物の設定・・・九州説寄り
冒頭のシーンからロケ地は吉野ヶ里遺跡でしょうか。
CGなのかはわかりませんが、吉野ヶ里遺跡の復元された建物にそっくりです。
卑弥呼をテーマにする際には必ず邪馬台国はどこにあった?という問題が出てくるので企画上は悩むところです。
候補としてはおそらく2つ挙がったと思います。
・吉野ヶ里遺跡・・・この場合は九州説になる
・唐子・鍵遺跡・・・この場合は畿内説になる
どちらの遺跡も240年となると時代がより古い訳ですが建物が復元されている場所というとこの2か所。
ロケ地として使うなら断然吉野ヶ里遺跡、というところでしょうか。
ちなみに自分はまだ吉野ヶ里遺跡には行ったことがないというマニアとしては恥ずかしい状態です。
●卑弥呼の鏡・・・畿内説寄り
卑弥呼が巫女として祈るシーンで鏡が使われていますが、この鏡は三角縁神獣鏡です。
三角縁神獣鏡と言えば卑弥呼の鏡と一般的にも認識深いですから、この設定はまあ当然!
ここでは240年という設定が絶妙だと思いました。238年に金印と銅鏡百枚を魏からもらっているので、その2年後であれば三角縁神獣鏡=卑弥呼の鏡という設定が、一応つながります。この点は建物で九州説を採用したので、道具で畿内説とバランスをとったという感じでしょうか。
●装飾品・・・九州説寄り?
頭の飾りはよくわからないです。
デザインは鏡のデザインをモチーフにしたように見えますが、類似の出土品なんてあったかな?ただ首飾りなどは、おそらく平原遺跡の出土品をベースにたのではないかなと思います。もしそうであるとするなら、九州説よりとなるでしょうか?
※平原遺跡・・・福岡県糸島市にある弥生時代の遺跡としては圧倒的な鏡出土量を誇る平原1号墓を含むとんでもない重要遺跡です。邪馬台国時代の伊都国の遺跡であり、卑弥呼とは非常に関係深いです。ちなみに1号墓の被葬者は副葬品から女性と考えられています。自分の想定としては、平原1号墓の副葬品から装飾品のデザインをしたのではないかと。。。詳しくは糸島市のHPにて。
●皆既日食
ここが設定上残念ながらずれてしまったところ。CMには何の関係もないところなのでどうでもよいのですが、弥生時代の皆既日食は実際にはそこ頃の近辺としては247年と248年に皆既日食があったと計算されています。CMよりももう少し後ということですね。
ともかくこの難しい条件を整合性とってCMに仕立てたのは素晴らしいですし、次の平安時代編もしっかりチェックしたいと思います。