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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

エクソコクロミス アナゲニス

 

Exochochromis Anagenys

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本属には、Ex.アナゲニス1種が属しています。湖全体に生息しているようですが、数が圧倒的に少ないのか、ワイルド個体が入荷するチャンスはほとんど皆無です。フォト上は運良く手に入れたNkataBayのワイルド個体です。ただ人気種なため、ブリードが進んでおり、専門店では定期的に入荷しますから、こちらは探せば手に入れることは可能です。ワイルド個体を数多く確認することが困難ながらこれまでの経験から、ワイルド個体とブリード個体の大きな違いは、口元の形状と考えています。本種の特徴は、Ar.クリスティのような鉤鼻ですが、ワイルド個体は意外とこの特徴が出ずスラリとしたノーズをしています。PHOTO5はワイルド個体の頭部のアップですが、鉤鼻状には全くなっておらず、逆にブリード個体の方が明確な角度があり、どちらかというと格好良く見えると思います。採集個体のフォトを見てもその傾向があるようです。発色に関しては、難易度は高いです。オスは紫がかった深いブルーに発色しますが、このような個体にはなかなかお目にかかれませんし、飼い込んでもこの域に達するにはかなりの努力と辛抱が必要です。

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元々の地肌のカラーも綺麗ですが、やはり発色させたいものですね。 -繁殖に関して- 通常のシクリッドと特に変わりません。かつてワイルド個体のブリードに成功しました(♂はブリード個体)。

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ただ食卵が激しくて、安静にすべく新聞紙で水槽を囲んで外部の刺激や明るさを遮断して何とか数匹と採ったというレベルでした。こういった鉤鼻タイプのシクリッド(Ar.クリスティやTy.マクリケプス、Ty.ポリオドン)は、岩礁地帯で、小魚を食べているタイプですので、繁殖時のオープンエリアも重要ですが、岩礁域を水槽内にも作ることが重要だったように思います。 -地域変異について- 1属1種ではありますが、北部と南部でカラーが違うということがKoningsの4thには記載されています。しかしワイルド個体の入荷がほぼ皆無な状態で、かつシルバータイプの入手はまずあり得ませんから実物で確かめることができません。現在のマイアミからのブリード個体にイエローとトレードネームに付加されることがあるのは、この地域差がある影響でしょう。 -Ex.アナゲニスとOt.リソバテスについて- なお本種の幼魚時代は、Ot.リソバテスと非常によく似ています。ショップ内で、幼魚を混泳させている場合は、見慣れていない方は混乱するはずです。この酷似点を、以前にMP氏が本種を特定したオリバー博士に質問をしたことがありました(2002年)。その際のコメント抜粋をご紹介します。 ・・・E.AnagenysのOtopharynx属との近縁説について、E.Anagenysの本家本元マイケル・オリバー博士にその見解を求めていたところ、本日になって回答が来ましたのでご紹介します。以下原文です。
I completely agree with you and Mr. Sakai. When I first wrote the descriptions of E. anagenys,O. lithobates, and O. brooksi (in my unpublished doctoral dissertation), I considered all three very closely related.The species were officially published in the book of Eccles and Trewavas several years later, in somewhat unusual circumstances.I did not have control over which genus the species would be assigned to by Eccles and Trewavas. I was quite surprised to find that they erected a separate genus for anagenys, and I do not agree with their decision, even though it is true that the mouth of anagenys is nusual and indeed unique.Given the new genera that Eccles and Trewavas created, I would have assigned anagenys to Otopharynx along with O. lithobates and the other species.
このコメントをMP氏がオリバー博士からもらったのが2002年、当時は気にならなかったのですが7年経った現在、Ot.brooksiというあまり日本では馴染みのない種が、気になるようになりました。博士が非常に近いと言われた3種の内、オトファリンクス属の2種は湖底の洞窟を好んで生息しているタイプです。Ex.アナゲニスも同様の生態を見せるのだろうか?これは現地を観察したことの無い私には仮説すら唱えることはできませんが、興味のあるところです。

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