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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

国立歴史民俗博物館

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館
永らく古代の展示コーナーが改装で休館になっていたのですが、2年ぶり位?で今春リニューアルしました。なんとかチェックしたかったリニューアルをようやく4月27日に実現できました。

佐倉の歴博は過去に行ったことはありますが巨大で1日使わないとじっくり観ることができない規模でした。今回は夕方に新幹線で金沢に戻らないと行けなく、リニューアル箇所を中心に、時間が許す限り滞在と、ほぼ江戸以降はチェックしない割り切りで臨みました。

っといってもまずは佐倉の食べ物とを、佐倉駅歴博の中間位にあった麺処丹治さんで腹ごしらえ。

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マー油がたっぷり。これからタップリ歴博内を歩くには丁度良いカロリー(笑)。

佐倉駅から歴博まではバスで約15分。
結構な勾配がある道を歩いて向かい12時前に到着。

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リニューアルが全面推し!
古代のリニューアルだけ頭にありましたけど、それ以前の時代もリニューアルされたようです。歴博は実に15年ぶり位のご無沙汰。結構記憶は薄れていてリニューアルじゃない部分も新鮮に観られそうです。

以下あまりネタバレにならない程度に、自分が注目した部分をご紹介します。展示物そのものじゃないところも含めて。

まずは入ってすぐの演出。

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最新の博物館は本当に変わったなと思うのは、全体の演出プロデュース。以前は遺物のレア度≒価値のような感覚で、どんな珍しいものがあるかに注目されていたように思います。ところが最近の博物館は遺物の価値よりも何を伝えたいかに力点が置かれているような。
こんな方向性が打ち出されているのかはわかりませんけどレイアウト、展示の仕方、解説、すべてが次世代化しているように感じました。
例えば石鏃作成という展示。

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当時の人間の最新考証が反映されているのはもちろんとして、石器の作り方における研究が反映されています。この分野は実験考古学というジャンルの研究の成果でしょう。実験考古学というのは、当時どのような方法で石器なり土器なりを製造したのか?を研究する分野です。考古学の中では割合新しい領域ですが、プロセス研究の成果が今回のリニューアルの中に込められていました。そしてその成果を表現するために破片をふんだんにバラまいたインパクトある展示。

佐倉歴博らしいパネルが。炭素14年代法。

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このパネルの前はほぼ誰も立ち止まっていませんでしたが、歴博らしい解説。考古学の研究のベースは遺物の形状変化を記録し、地域ごとの研究成果を連携させた編年の体系です。この蓄積した研究成果があるから、新しく発見された遺物の年代を推測することが可能となります。これに対してC14による年代測定は絶対的アプローチと言えるもの。このアプローチにより弥生時代を従来定説よりはるかに早い始まりだったという研究成果を打ち出したのが歴博でした。
歴博が日本の考古学会に与えた衝撃がこのパネルで表現されています。

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弥生時代の遺物の展示コーナーを通っていよいよお目当ての古墳時代に到着。博物館全体が膨大な施設ですがその中でも、弥生から古墳にかけてのスペースは充実していました。ここはぜひ実体験いただいたい部分で、古墳時代を前期・中期・後期に分けている展示はなかなか見られません。
その古墳時代のコーナーにあるオブジェがこれ。

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箸墓古墳と右下にホケノ山古墳を模したもの。この模型にもこだわりがあるなと勝手に思い撮影を。これ撮影してる人は誰もいませんでいたけど(笑)。箸墓古墳の後方部の撥型の再現はもちろんですが、後円部の5段目の角が鈍いところが絶妙。こだわりなく作るなら5段目もエッジを効かせて平坦にするものですが(右下のホケノ山古墳はそうなっている)、そうしていないのは葺石で覆われていると想定しているのでしょうか?発掘調査ができない古墳なので詳細はわかりませんが、レーザー測量の成果が正確に模型にも表れています。またホケノ山古墳を右下に据えるのも、実際の立地条件から考えられています。

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古墳時代をしっかり堪能した後は、沖ノ島のコーナーへ。沖ノ島だけで展示コーナーが作られているというのが佐倉が単に歴博ではなく歴史民俗博物館だからなのでしょうか。玄界灘の考古学的な価値だけではなく、連綿と続く歴史としての沖ノ島の価値を訴えてきます。

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とにかくスケールがとんでもない。

古墳時代から沖ノ島のコーナーを過ぎると、ここまでのボリューム感に比べると飛鳥から奈良はトーンダウンした感があります。ほぼ省略されているような割り切りで平安時代もそこそこ。
中世に入って以降は歴博のもう一つの顔、民俗博物館の色が強くなってきます。自分としてはリニューアルはしっかり堪能できたのであとは時間の限りと思ってたんですが、迫力に圧倒されて余計に時間を使ってしまいました。

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これは、石川県の能登の祭りの展示。宇出津(うしつ)という町での伝統的な祭りを壊れた神輿で表現しています。神輿を並べてあるのが一般的な展示ですけど、こんな見せ方があるとは(驚)。

さらに奥にはインパクトある巨人像が。

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これは東北の方だったかな?巨大な藁人形が。これ、ダイダラボッチの伝承と関係あるのかな。もののけ姫を思い出しました。

たっぷり堪能した後は、歴博古代カレーを食べておかないと。
ラーメン食べてから2時間半位でしょうか。一応記念にオーダーしときました。

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歴博をじっくり堪能するには2時間半では足りず、後半は省略。
夕方の新幹線に乗る必要がありながらも、後半で結構時間つかってしまったので佐倉から特急で東京まで戻る羽目に(汗)。ともかく歴博のリニューアルチェックはできたので満足な1日でした。