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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

『長屋王残照記』里中満智子著

コロナウィルスから奈良時代天然痘の連想になったついでで奈良時代について。
藤原4兄弟が天然痘でたおれる前の時代に君臨したのが長屋王です。
長屋王は、天武天皇の皇子で壬申の乱でも活躍した高市皇子の子です。母親が天智天皇の皇女である御名部皇女なので天智・天武両方の血統を受け継いでいるという点で、父の高市以上に高貴な血統とされています。

この長屋王をテーマにした漫画が里中満智子さんの『長屋王残照記』でした(全3巻)。

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自分が持っているのは今から28年前!のもの。今でも表装は変化しながらも手に入れることは可能なようです。里中さんは、天然痘で藤原4兄弟が死んでいく前の不比等、4兄弟、長屋王の関係性を彼女の世界観の中で描かれています。

おそらくこの漫画の世代の方々は、里中さんの漫画読んで、それから永井路子さんの『美貌の女帝』を読んだのではないでしょうか?『美貌の女帝』は長屋王の正妃の吉備内親王の姉に当たる元正天皇を題材にした小説です。

里中さんの『長屋王残照記』では藤原4兄弟の中では特に房前が長屋王を尊敬し学ぼうとした姿で描かれています。最後は超えられない長屋王の存在に嫉妬し反逆をしてしまうという設定なのですが、歴史上も長屋王が生きていた時代の出世のスピードとそれ以降の停滞感は里中さんの設定の背景にあるようです。結果4人まとめて天然痘で死んでしまうんですけど。

外出自粛の今の時期、奈良時代を気軽に愉しむには、

・『長屋王残照記』
・『美貌の女帝』永井路子
ここまでに興味を持てたら

こちらを読んでみるとか!

そしてさらに興味が持てたら実際に奈良に赴いて、関係者の古墳をチェックに行く!こんな愉しみ方はすごく充実していると思います。まあ平常時に戻ってからですけど。

最後に。『長屋王残照記』の各巻の枕詞ですが、
1巻あおによし・・・"奈良"の枕詞
2巻ぬばたまの・・・"夜"や"夢"や"月"の枕詞
3巻ひさかたの・・・"光"や"都"の枕詞
となります。
里中さんが各巻にこの枕詞を付けたのは、若き長屋王藤原不比等の実績を追いながら、国家の未来をどのように輝くかという意味で全3巻を設計されたのでしょうか。1つ1つの意味を考えるだけでも面白いものです。