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サブ3.5ランナーのマラソン記録、古墳を楽しもCHANNEL!で伝えきれないこと

須曽蝦夷穴古墳:石川県七尾市能登島須曽町(2016.7.30)

能登半島には、能登島という島があります。
この島には、全国的にも有名な古墳があります。
本来は釣りをしたり、ランニングをするには非常に良いところなのですが、今回は古墳だけをチェックするために島へ渡りました。
 
能登島大橋からいざ島へ!

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この古墳の特徴は何といっても2対の横穴式石室があることと、板状の石をいくつも積み上げたドーム型の石室でしょう。
このブログでも取り上げていますが2対と言えば、
千葉県龍角寺古墳群にある龍角寺岩屋古墳
規模は岩屋古墳がはるかに大きいこと、石材が貝化石を含む軟質砂岩で組まれているという違いはあるものの、板状の石材利用など比較する価値があります。
さらにドーム型といえば、多摩から群馬にかけての古墳にもみられる特徴です。
群馬の伊勢塚古墳なども比較してみると面白い類似性が見えるのではないかと思えてしまいます。
 
では改めて須曽蝦夷穴古墳を。
古墳は能登島から七尾湾を見渡せる非常に景色の良いところにありました。
周囲は史跡公園として整備されています。
史跡公園を歩いていくと、古墳の後ろ姿が見えてきます。

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1辺が約25mの古墳であり、正面には容易に回ることができます。

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古墳正面から。
左を雌穴、右を雄穴と呼ぶそうです。
左の雌穴は石室内がL字型をしています。
右の雄穴は、T字型をしています。
2つの石室は同時に造られていて左右対称です。
雄穴を見て思い出したのは、成田にある上福田岩屋古墳でした。
石材の違いはもちろんありますが、雰囲気が似てるなぁと素人ながらに感じた次第です。
 
まずは雌穴に入ってみました。

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L字型の石室は大きさよりは、石を積み上げた精巧さのインパクトに魅了されます。
お決まりのように古墳の中から外を眺めると、古墳の中からでも七尾湾が綺麗に見えます。
 

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続いて雄穴へ。
こちらは柵がしてあり、中まで完全に入れるわけではありません。
 

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この古墳の復元前の状況は、駐車場隣にある蝦夷穴歴史センターで見ることができます。
ここには蝦夷穴古墳の復元前の姿が見られました。

【復元前の様子】

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復元前図を見るとかなりの劣化具合だったのがよくわかります。
【雌穴の復元前の様子】

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【雄穴の復元前の様子】

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この資料館は見えておかないと、史跡公園化しすぎている点を補えません。

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この古墳をチェックするためだけに能登島に来る人はまずいないと思いますが、北陸の終末期の古墳であり、高句麗の技術が見られること、そしてまだまだ未整理ですが、能登半島から長野(諏訪)-群馬-多摩へと流れる高句麗系の技術のつながりなど、非常に深い古墳だと思います。
能登の史跡巡りでは必ずチェックされることをおすすめします。

追記:その後2020年にドローンで空撮をしてますのでリンクを貼っておきます。

■須曽蝦夷穴古墳
■場所 石川県七尾市能登島須曽町
■形状 方墳
■規模 一辺約25m
■築造時期 7世紀中期