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釣りキチ三平をSEDAモデルで復習する

釣りキチ三平の作者である矢口先生が20日膵臓癌で亡くなられました。
自分の年代だと小学生の頃に少年マガジンで連載されていて、中学生時代に最終回を迎え、当時友達と「まさか最後に三平のじいちゃん死ぬとはな」と会話していた記憶が今でも残っています。小学生の頃、釣りを始めたのも釣りキチ三平の影響でしたし、受けた影響は本当に大きいです。

せっかくなので子供の頃はできなかった釣りキチ三平の評価を改めてやってみたいと思います。釣りキチ三平は、三平少年が、日本国内だけでなくいろんな魚を釣る物語ですが、登場人物として
・一平=三平の祖父で和竿作りの名人
・魚紳=全国を釣り行脚している釣り名人
が随所で登場し、矢口先生の想いを作中で代弁します。実は三平自身は「もっと釣りたい」というシンプルなメッセージしか発していないんですね。まあ少年だから当然なんですが。

おそらくこんな整理をする暇人はいないと思いますが、登場人物をSEDAモデルという経営判断のフレームにプロットしてみるとこうなると考えられます。

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まず右上のアートの領域は一平じいちゃんが該当。
作中では、普段は価値観を語らない一平じいちゃんが時々語るコンテキストは、「自然に従うこと」。よって作品初期の6、7巻では、毛ばり山人と呼ばれる毛ばり作りの名人と、価値観の違いにより長く絶交状態となるのです。自然に従うなら、毛ばりという疑似餌は本筋じゃないという姿勢が、悪気はなくとも説明下手なゆえ、齟齬を生んでしまった訳ですね。最終的には三平を間に挟み、永きの誤解は解けることになるのですが。

次に左上のサイエンスの領域には魚紳さん。
魚紳さんは、一平じいちゃんへ共鳴しながらも最新の技術をわかりやすく三平に提供します。魚紳さんのすごいところは、自然に従う一平じいちゃんとは、異なるアプローチでありながら、結論としては同じな点。アメリカでバストーナメントに出場して優勝するとか一平じいちゃんなら絶対にやらないチャレンジからの経験値を三平に注ぎ込みます。一平じいちゃんの暗黙知(子供の三平にはわからない)を魚紳さんが冷静な分析整理で形式知化し三平は理解できるので、兄か父親のように慕う関係性となります。

左下エンジニアリング領域には三平。
主人公である三平は、魚紳さんの期待値を超えて難しい魚を釣り上げます。魚紳さんの教えだけでは、目的は魚紳さんが達成できてしまうことになりますが、三平のアイデア(エンジニアリング)により釣りが一段昇華するんですね。三平が魚を釣るプロセスは、一平じいちゃんの基本的な価値観を咀嚼した魚紳さんが最新技術を付加し、それでも突破できない点を三平のアイデアにより達成していく、ワンパターンと言えばそれまでですが、基本構造はこうなっています。

最後に右下デザイン領域が矢口先生。
この構造を設計したのが矢口先生ご自身、ということでSEDAモデルには、作中の人物に先生をプラスした4人がうまく当てはまります。

 

・・・書いていると固い話になってしまったので、最後に矢口先生の予言的な話を1つ。
これは過去記事にしているのですが、クニマスという絶滅したと思われた魚を、さかなクンが発見したというニュースが10年前にありました。
このニュース自体がもう10年前のことですが、そのさらに前に矢口先生はこのことを予言していたような作品を描かれていたんです。当時の私の驚きも備忘してあるので興味ある方はぜひ下のリンクをお読みください。

 ちなみに、この作品の中でも、一平じいちゃんは自身の規律に反してしまった後悔の念を述べています。ぜひ釣りをされる方はもちろん、されない方でも釣りキチ三平を今だからこそ手にされることをお勧めします。

そして矢口先生のご冥福をお祈りします。